変わり続けて今がある。Creative Hub Swimmyのプロダクションスタイル(後編)
映像を筆頭にさまざまなクリエイティブを手がけるSwimmy。本稿はその歩みと本質に迫るシリーズの最終回です。
チームの発生から制作スタイルの確立(前編)、スケール拡大に伴うマネジメント体制の興り(中編)に続き今回ひも解かれるのは、このチームが共有する価値観のことや今後の展開のこと。さてさてどんな話が飛び出すことでしょう。
合宿で再認識。僕らは「楽しく創る」
そこで、Swimmyってそもそもどんなチームなんだろう、何を大切にしているんだろう?とひとりひとりが思うところを書き出したのを一堂に並べてみたら、およその方向性はやっぱり一緒だった。そこを詰めてもっとも核となる部分を探そう、と。
煮詰めに煮詰めた結果、コアの部分として抽出できたのが「楽しく創る」という言葉。なんて単純なんだ(笑)
丸一日かけてワークショップして、締めの二時間の討論に至ってはけんけんがくがく。その挙げ句に出てきたのがコレか、という、まぁなんとも不思議な空気になりましたよね。でも腑に落ち過ぎるぐらいの感覚。
プロフェッショナルだからこそ楽しくないと。「やっぱりこれが一番しっくりくる」ってみんなで笑いながら納得しました。
チーム力、なおも充実。Swimmyの思い描く未来
で、そんな合宿を経て、メンバーの担当業務や役職バランスが適切なのか、それから中長期的視点に立って、教育とか、活躍の伸びしろを僕ら四人で考えていこうということになったんですよね。
マネジメントのチームがみていかないといけないことっていうのは、個々人のはたらきかたとか、個人個人のキャリアであるとかたくさんあるとは思うんですけど、やっぱり一番大きなところは、Swimmyの「らしさ」。他者から見て思う印象を濁さないか、ブラさないか。そのらしさって自由度とか柔軟性の話だから、形式的にこうあるべきって決めちゃわない方が、今の人数規模みたいに当初思ってもみなかった展開に発展することがあるんじゃないか、という。
確か前川だっけ。「楽しくつくっているときほどイイものが出来上がっているんだよ!」って言ったことがちょっと前にあったのを覚えてて。実際、出来上がったものを見ると確かによくできていた。
自分でもよく言うけど、トラブルが発生したときは自分達だけで抱え込まず、「さぁ困りましたね。どっからやりましょうか」と課題をオープンにしてアイディアを募るとか。良いものづくりのために必要な要素は、そういう心構えにこそ潜んでいるんじゃないかと。
個々のパフォーマンスを引き出すのもそうだけど、それらがちぐはぐにならずちゃんと噛み合うこともそこでは必要で。振り返ると、そういうときってチームの真ん中にいる人が楽しそうにしている様子であるとか、「楽しくやるよ」的な一見バカみたいなひとことがみんなの呼吸を合わせることに繋がっているんだと思う。そして、歯車が噛み合い切った時の突き抜け方って、凄い。
「こんなに楽しさ本位の現場、それでいてアウトプットが結果としてよいものになるのであれば、ぜひ自分も一緒に仕事したい」って、いろんな人にそう思ってもらいたいですよね。
「楽しく創る」をポリシーとして実践した先、人の縁も広がり仕事そのものだって今以上に面白いことができるはずだよね。そういう意味で、黒田さんやみんなが思う今後の理想って、何?
願わくば、カンヌのような海外の賞を獲りたいなって思うところはあります。それもSwimmyでやったと言える座組みで。これまでSwimmyって賞レースみたいなものには無頓着なところもあったけど、自分達の「楽しみたい」を突き詰めた結果としての作品で、僕ららしさを世界に知らしめたいという意味で。
個人的には、クリエイティブにゆかりある人だったら誰もが知っているブランドムービーなど、届くべき人に届いている、という定性的な価値がズバ抜けて優れた映像を量産したい。後世になってその辺をリサーチする指標ができたときに、Swimmyの映像、ことごとくすごいじゃん、みたいなことがわかる展開とかよくないですか。バズらせてナンボ、というのとは違うところの価値は、深堀りしていきたい。
わかりやすいところでいうと、NETFLIXみたいなワールドワイドコンテンツを手がけてみたい。自社発信を意識して、世界にアンテナを向けてやっていきたい。
うん、映画は作りたいよね。
うんうん。あと、僕が常日頃考えるのは、こんなことできるのかな、こういうときってどうしたらいいんだろうっていう状況で「見当つかないから、とりあえず相談」がしてもらえるチームになりたいと思ってるんだ。
構想はあれど設計図はないっていうものづくりでこそ「楽しく創る」姿勢が活きてくるはずだし、他と比べられるまでもなく圧倒的に新しい、圧倒的に面白い、そういうものができるようになったときに、僕らははじめて真のプロダクションになれるんじゃないかな。
「真のプロダクション」、最強ですね。そんな風になれたらなんでもつくれそう。
つくれることの喜びってものすごいパワーだよね。現場が楽しいと自分達自身も楽しい。その様子を切り取った漫画をつくりたいんだよね。そしてそれを元にした映像コンテンツもつくってNETFLIXに売り込みにいこう。企画・制作・出演ぜんぶSwimmy。一体どんだけ自己愛が強い集団なんか、と(笑)
(終)
で、マネジメントシステムを設けようとなった時に合宿したんだよね。メンバー全員で「自分たちはこのやり方でやっていくんだ」っていう共通のマインドセットを持たないと、という自覚から、意図的にその機会を設けよう、ということでさ。