変わり続けて今がある。Creative Hub Swimmyのプロダクションスタイル(前編)
立ち上げが、さかのぼること2013年9月。Creative Hub Swimmyは今年中にもいよいよ記念すべき10期目を迎えます。
人数も、抱える案件でも、その規模を拡大させ続けてきたSwimmy。映像を主軸に、グラフィックやデジタルコンテンツ、イベントまで多岐に手がけるこのチームがたどってきた経緯、ものづくりにおいて大事にしている価値観、そして来るべき未来の姿とは。マネジメントを担当する四人のメンバーが、腰を据えて大いに語り合います。
ニーズが移り変わるさなかに。Swimmyのはじまり
早くも、そういうこと。節目だよ節目。始まりの頃を思い返すと……当時の広告業界って時代的にテレビCMがまだまだメインの地位を占めていて、そこへWebCMやブランドCMが存在感を現し始めていたときだったんだよね。僕はプロデューサーとして割と早い段階からその手の案件に関わり始めていたのもあって、CMだから、Webだからと分け隔てず、垣根なくやれるプロダクションがつくりたい、と当時考えていた。
だから「CM制作プロダクション」とは言わず、実質的にはテレビCM、WebCM、ブランドCM、グラフィック、インタラクティブコンテンツ等々いろいろ手広くやっていたし。メンバーは今もいる顔ぶれとしては二木、伊藤、前川、丸本、木下ぐらい。プラス数人ほどの小さなチームで、案件に合わせてフリーランスを募るなど、つど規模や内容でメンバー編成を変えながら瞬発力でグイグイ制作していくやり方でやっていたわけだけど。
“Swimmy”って既にその時点で命名していたぐらいだから、自分たちのワークスタイルについてはあくまで当時から意識的だったんですよね。
そう。当時から既にそれだけレンジ広く多様な案件を取り扱っていた、ということ。単に「マスへ送る」というのから「特定のターゲットへと狙いを定め・届ける」と言う風に動画に求められる役割がシフトしていく中、Swimmyはリアルタイムでそれに応え続けてきていたんじゃないかなと思う。チーム編成の柔軟さがあればこそ、だよね。
一人◯役。Swimmy流ものづくりスタイル
チームに変化の兆しが出てきたのは、福ちゃんや前川を初め、ディレクター志望のメンバーが入ってきたときだったかな。ひとりがひとつの役職を全うする、いわゆる「職人」を束ねたチームビルディングが予算に合わず時代的に難しくなっていく中、一人二役受け持つような立ち回りをおのずとし始めるようになった。これからはそういうのもアリだろうって、無意識のうちに思いながら。
Swimmyのディレクター陣は、自分がディレクションをするときはもちろんそれに集中するけれど、仲間がディレクターを勤めるときはプロデューサーの顔にもなるし、編集に徹することもあるし、僕もだけど人によっては撮影を担当することもある。みんないろんな役回りをするのが当たり前やろ、っていうことで。
この前も増野さん、打ち合わせ段階ではプロデューサーとして制作進行を担当してたのに、いざ現場では撮影助手にまわるっていう(笑)。そんなことがあったなぁ。
ハハハ。うちならありえる話だよね。
うんうん。よくある。
レンズ交換を黙々とやってましたから。
しかもその時のカメラマンが当時ジョインしたばかりの馮さんっていう。
それも役割意識が適当でそうなったのではなく、完成するまでのひとつのビジョンを共有していて、その実現に向けそれぞれが互いに得意なことで補い合おうとするから、そうなってしまうという。これもSwimmyの文化なのかなってその時も思いましたよね。
うん。そういうのってベースとしてのクリエイティブ能力があるってことだとは思うんだけどね。
いち個人が何役ものスキルパッケージを持っていて、役職というマス目に、得意なひと優先で枠に入るイメージかな。ビジュアルでかっこよく見せたい時にはだれ、ストーリー性重視でいきたい時にはだれ、みたいな。案件によっていろんなフォーメーションがありえるという。
それでいうと木下なんかすごいよな。(指折り数えながら)車両部、やる。特機部、やる。美術部、やる。仕掛けもやるとか(笑)。
この前は裁縫やってましたから。プロの作った着ぐるみがなんだか収まりが悪いということになって、構造をいちどバラしてからまた作り直しちゃった。
ものづくり意識と結束力、あります
映像をつくるのが本当に好きで、ディレクターとかプロデューサーとかいう肩書はさておき「よい映像をつくるぞ」という意識がまず先にある。軸がそこにあるから、役割分担の自由さが可能になっていると思うんですよね。
僕はSwimmyに加わってまだ二年目ですけど、ホントそこ思いますね。つくるのが好きな人達がここには集まっている。前の会社でもプロデューサーとして人事や採用にも関わっていて、いわゆる「能力高そうな人」を採用しようとしてたんですけど、いざ採用して一緒に仕事していく中で、つくることへの情熱の部分が「ない」ってふと判った瞬間に流れる温度差って、その後もなかなか埋まらないというか。
みんな熱量とガッツを持ち合わせていれば、クオリティって追求し切れると思うんだよね。どうしても自分達では実現できないな、という部分において、気心の知れたエキスパートに加わってもらいながらつくっていく。そんなことの繰り返しで自分達を核としたチームワークがおのずと高まっていった、ということなんだろうね。
僕がSwimmyに入った時(2016年)の動機だって、やっぱりそのチームワークが機能している様子がホント美しかったからなんですよ。めちゃめちゃ楽しそうだった……。好きが勝っているから、逆境でも諦めないし。ひとたび案件が終われば解散する「職人の集合体」にはない、人としてのつながりの強さがあるな、と思った。
中でも頻出する「ディレクションとプロデュース両方」の役回りを使い分けるパターンは今後、業界のスタンダードになっていくと僕は信じてますね。
(中編へ続く)
今度の9月でもう10期目、でしたっけ?